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次の交流は、romanceのメンバーの誰かとだ。
もちろん私はromanceの中から、昔の推しである翡翠を選び、彼のいる個室の前へと移動していた。
この扉の先に、翡翠がいる。
透くんがいた個室と同じような扉を前に、しみじみとそう思う。
4ヶ月前は、お金と時間が許す限り、何度も何度も翡翠に会いに行った。
ライブにも、握手会にも、イベントにも。
その全てが今は透くんだ。
そんなことを考えていると、スタッフの方が私の電子チケットを改めて確認し、「どうぞ。時間は5分です」と丁寧に告げて、個室の扉を開けた。
すると扉の先には、透くんと同じようにテーブルの奥の椅子に腰掛けている翡翠がいた。
栗色のまっすぐな髪に、蛍光灯の光が当たり、天使の輪ができている。
キラキラと輝くそこから覗く顔は相変わらず端正で、日本中全ての人が「かっこいい」と騒ぐ理由も頷けた。
長い手足に、小さな顔。骨格まで完璧とは、さすが今をときめく翡翠である。
翡翠は私の存在に気づくと、ふっと表情を緩ませ、席から立った。
「いらっしゃい。ここ、座って?」
テーブルの向こうから、翡翠が優しく私に席を指し示す。
目を合わせ、存在を認知してもらう。
ほんの4ヶ月前なら、よく握手会であった出来事だ。
なんと懐かしい感覚なのだろう。
私は個室へと入り、翡翠の元まで移動すると、促されるまま、その椅子へと座った。



