「LOVEー!透くーん!」
この場では誰も持っていないLOVEのペンラを一生懸命振って、ここに透くんのファンもちゃんといることをアピールする。
するとステージ上で踊っていたキラキラ光る透くんと目が合った。
私を見つけた透くんが、嬉しそうにその瞳を細める。
す、好きぃぃぃー!!!!沼ぁぁぁー!!!!
透くんの微笑みに、私は心の中でそう叫んでいた。
ここにはまだromanceファンの方が圧倒的に多い。
けれど、私が彼を天高く押し上げて見せる。
いつかここを彼のファンでいっぱいにしてみせる…!
そう強く決意したところで、今度は私の前に、翡翠が現れた。
ライトを浴び、踊り歌う翡翠は、前と変わらず、輝いていて、かっこいい。
さすが今をときめく超人気アイドルだ。
立派になって…。
本当、かっこいいね。
完璧な翡翠に、成長を感じ、親心のような感情を抱く。
頑張れ!翡翠!
もう最推しじゃないけど、変わらず応援はしているよ!
そう思いながらLOVEのペンラを振っていると、翡翠と目が合った。
いや、そんなはずはない。こんなにもたくさんのファンの中から翡翠と目が合うわけがない。
きっと気のせいだろう。
ライブあるあるというやつだ。
こちらの方を見ていた翡翠は、太陽のように明るい笑顔を振り撒いていたその瞳から一瞬だけ光を消した。
それから愛おしげに、柔らかく笑った。
さすが、翡翠。
みんなの完璧な星は、表情管理まで完璧らしい。
「きゃあああー!!!」
翡翠の甘い表情に、今日一番の悲鳴が上がる。
しかし、私はそんな翡翠からすぐに透くんへと視線を移し、会場中を包む熱に負けないように叫んだ。
「透くーん!」
メインステージの奥で踊る透くんは、翡翠のように大きな注目は集めていなかったが、それでも私を惹きつけて離さなかった。



