結愛としゃべっていると、希亜さんが長い髪を手ぐしで梳きながらため息を落とした。
「GMに言ってみる」
棚川さんがポシェットからスマホを取り出し、GMに電話をかける。
「もしもし。…アメニティはないんですか?…え、今日風呂入れないじゃないですか。…は?…あ、はい…」
ぶちっと通話を切った棚川さんが、「売店にアメニティは売ってないらしい。でも、明日のことは気にするなってさ」と、静寂に雫を落とすような声量でそう言った。
「気にするなって、無理なんだけど」
「それな」
私たちの間に、少し不穏な雰囲気が漂い始める。
「別に俺はいいけど」
そう言って、東山さんが低い位置で束ねていた髪をほどくと、絵の具のような独特のにおいが漂った。
「てか、俺おなかすいたからなんか買っていくわ。」
湊さんが私たちの輪から外れて、食料品コーナーに移動した。
「じゃあ俺も―」
木瀬くんも輪から外れて、湊さんについていく。
「アイスあるじゃん。どうする?」
「俺は無難にポテチとかでいいけど」
アイスのショーケースに並んでお菓子を物色している二人から背を向けて、私もアメニティを探す。



