10 Billion Game


結愛としゃべっていると、希亜さんが長い髪を手ぐしで()きながらため息を落とした。

「GMに言ってみる」

棚川さんがポシェットからスマホを取り出し、GMに電話をかける。

「もしもし。…アメニティはないんですか?…え、今日風呂入れないじゃないですか。…は?…あ、はい…」

ぶちっと通話を切った棚川さんが、「売店にアメニティは売ってないらしい。でも、明日のことは気にするなってさ」と、静寂に雫を落とすような声量でそう言った。

「気にするなって、無理なんだけど」

「それな」

私たちの間に、少し不穏な雰囲気が漂い始める。

「別に俺はいいけど」

そう言って、東山さんが低い位置で束ねていた髪をほどくと、絵の具のような独特のにおいが漂った。

「てか、俺おなかすいたからなんか買っていくわ。」

湊さんが私たちの輪から外れて、食料品コーナーに移動した。

「じゃあ俺も―」

木瀬くんも輪から外れて、湊さんについていく。

「アイスあるじゃん。どうする?」

「俺は無難にポテチとかでいいけど」

アイスのショーケースに並んでお菓子を物色している二人から背を向けて、私もアメニティを探す。