だからアナタに殺されたい。




禁断症状とは、1日に必要な血の摂取量を得られなかった吸血鬼のみに現れるものだ。
禁断症状を発症した吸血鬼は、瞳の色が生まれ持った色から血のような濃い赤へと変わり、理性が崩壊し、血を求める本能に己の全てを支配される。
血を飲んでも飲んでもその欲は満たされることなく、死ぬまで血を求め続ける。

本に書かれている内容は、俺が…いや、今の人類が知っているものとほぼ同じだった。
やはり伝説と言っても、全てが嘘か本当かわからない内容ではないらしい。
ここには正しい知識も確かにある。

この本に何か俺が知らない情報はないか。
エレノアへ繋がる情報を知る為に、俺はさらに本を読み進めた。

吸血鬼にとって人から直接血を吸う行為は、強い快感を伴うもので、麻薬のような中毒性がある。
その中毒性により、吸血鬼は一度直接吸血行為をすると、やめられず、禁断症状へと陥る。



「…え」



本の内容に、思わず声が漏れる。

一体、どういうことだ。

指先からゆっくりと、体温が奪われていく。
記されている文字が信じられなくて、思考が音もなく崩れていく。

直接血を吸う行為に快感が伴うことは、エレノアの様子を見ていたので、わかっていた。
なので、麻薬のような中毒性があったということも理解できる。
だが、それが禁断症状に繋がるなど夢にも思っていなかった。