だからアナタに殺されたい。





「何でもありません。ただ気に入らないからこうしただけです」



しかし、ローゼルは淡々と私の言葉を否定した。

倒れる騎士たちに一瞬だけ向けられたローゼルの視線。
冷たく、無感情に見えるそれには、確かな強い怒りがある。

理由もなく、ローゼルは怒らないだろうし、こんなこともしないだろう。
事情を詳しく聞きたいのだが、視界の端にいる騎士たちのことをこれ以上、私は放っておけなかった。



「ローゼル。事情は後で詳しく聞かせて」



ローゼルの肩にポンッと手を置いて、さっとローゼルから離れる。
それからたまたま渡り廊下を歩いていた若い騎士に、私は「助けて欲しい」と声をかけた。

集まり出した人たちが倒れている騎士たちをどんどん救護室へと運んでいく。



「エレノアさん!こちらの方も救護室で大丈夫ですか!?」

「ええ、お願い!」



茶髪にそばかすが印象的な青年の騎士、マックスに応えて、私はまた手の足りていないところへと移動した。
集まった人たちが素早く手伝ってくれたおかげで、患者の運搬はスムーズに行われた。

その様子をローゼルは雨の中じっと見つめていた。
だが、いつの間にかその姿は雨の中に溶けるように消えていたのだった。