『俺が死んでも、アナタには寿命の限り生きて欲しい』
そう書かれたローゼルからの言葉に、私は言葉を失った。
何を言っているのだ。
ローゼルのいない世界でどう生きろというのだ。
ローゼルに長い間満たされ続けた私は、そう簡単に禁断症状に陥らない。本能も年齢と共に落ち着き、ローゼルが死んで以来血を摂取していないが、特に変化はない。
だが、タブレットを受け付けない私では、長生きはできない。いずれ、禁断症状に陥るし、例え、陥らなくてももう生きるつもりはない。
ローゼルの最期の願いを、私はそうバッサリと切った。
しかし、ローゼルにはその願いを叶える為の準備があった。
『俺の血を使ったタブレットを10年分用意しました。それでどうか生きてください。俺はアナタに殺されたいけど、アナタには生きて欲しいんです』
「…っ」
若い頃と何も変わらないローゼルの言葉に、笑みと涙が溢れる。



