二年生になった僕たちはエンタメ特別放送部に引き続き所属していた。だけど最近は部での活動をしていなくて、何か活動もしたいよねって話になり、放課後プリレボのメンバーは放送室に集まった。
「……『いつも応援しています。学校での企画も楽しみにしてます』『エンタメ特別放送部でもまた何かして欲しいです』と、これで全部です」
僕はエンタメ特別放送部に寄せられたアンケートを全て読み終えた。活動出来ていないのにたくさんのあたたかい声があって、ありがたい気持ちをかみしめると心の奥がじんとした。
「最近エンタメ特別放送部の企画できていないよなぁ。新しい勢力にも押され気味だし……新しい悩みが増えていくな……」
そたくんは何度もため息をつき、珍しくとても悩んだ表情をしている。
学校のこともだけど、僕も今、色々考えないといけないことがあるなぁ――。
本当にそう。
僕自身個人的に悩んでいることもある。昔からプリレボのことを応援しているファンから『いつきん、他の四人と実力差がありすぎ』『売れてるプリレボに努力しないで混ざれたいつきw』など、悲しいことを言われたりもしていた。
一番心に刺さったのは『応援したくなる個性がないよね』だった。
前までの僕ならきっと、ウジウジしているだけだったと思う。
だけど今はそう思われないように努力をもっとする!って思えたり、自分の個性ってなんだろう……どうしたらもっとプリレボの一員として活躍できるか?なんて考えられるようになった。プリレボメンバーのお陰で。
最近はプリレボに加入させてもらってからプリレボ以外の業界の世界にも注目するようになった。
前にも教えてもらったけれど、本当に世間の流行は移り変わるのが早い。止まっていると置いていかれるような気がした。僕たちだって例外ではない。
そたくんも悩んでいたけれど新しいグループが最近勢いを増している。特に、どんなことでも挑戦をする動画配信を主として活動しているダーク系騎士たち五人組アイドルグループ〝ルミナスムーンナイト〟にプリレボのファンたちが流れて行ってしまっている。ちなみにルミナイは週に一回は必ず配信をしていて、身近なアイドルを売りにしている。
プリレボの中ではいつも誰かに助けられていて受け身だった僕。
これからは何か新しいことを提案したい、もっとプリレボのために何かをしたい!とも日々悩んでいた。
――僕はこれから、僕の得意なことで頑張っていきたい。
やってみたいことは噴水のように湧き上がりすぎている。
でも企画提案しても成功するかもわからないし、メンバーは忙しそうだし……なかなかメンバーに意見を伝えられずにいた。
だけど今、妄想した企画のひとつを伝えられるタイミングのような気がする。
僕は震える手をぎゅっと握り、勇気を出して口を開いた。
「あの、たくさん想像している企画のひとつに、学校でやる企画の提案があるのですが、よろしいですか?」
全員が優しく「いいよ」と頷いてくれた。
「いつきんプロデュース企画 ~学校のみんなと一緒に学校のプロモーション映像を制作してみよう!企画です。学校紹介しながらさりげなく僕たちのこともアピールする感じの……」
反応が気になり、全員の顔をひとりひとり上目遣いで確認する僕。
「楽しそうだね。完成のイメージがすぐに浮かび上がってきた。いいんじゃない?」と、一番初めに反応してくれたのは、しーおんくんだった。良い反応に僕はホッとした。
「うれしい反応をありがとうございます。参加してくれる生徒たちも楽しい思い出が出来るかなぁと思って……あと、プリレボのいるこの学校を選んで良かったってなってくれたらいいなとも思いまして」
「じゃあ学校側に企画内容を伝えないとな……」と、そたくんも前向きに検討してくれている。
みずっきくんとれんくんも微笑みながら頷いてくれた。
「ところでいつきん、たくさん想像企画してるって今言ってたけど、他にもあるの? いつきんもプリレボメンバーなんだから、どんどん意見言ってね」
しーおんくんが笑顔でそう言ってくれた。
僕が意見を言っても、みんなはこうして受け入れてくれるんだ!
「では今、想像している企画をお伝えします! こういう企画をしたら僕含めファンのみんなが喜んでくれるかなって思って――まずは、実はメンバーたちはそれぞれ前世でも深い繋がりがあったんだなと思えるような設定を作りたいです」
「ルミナイみたいにだ?」
「そうです!」
ルミナイの名前を出しながらそたくんは眉をギュッとよせた。
「ルミナイと言えば、こないだ『プリレボを追い抜く!』なんて動画配信で発言もしていたな……」
「打倒ルミナイ、かな?」
そたくんの呟きにみずっきくんはそう言った。
プリレボを追い抜く、ルミナイを打倒――お互いのグループはそれぞれこんな風に思っている。だけど僕の頭の中には別の意見もあった。
この場では言えないけれど、このふたつのグループはお互いに警戒している雰囲気だけど、変わってほしいなと密かに願っていた。例えばコラボをしたり? だって、あっちのファンがプリレボの魅力を知り、応援してくれるようになるかもだし、何よりもコラボしているところをファンとして見てみたいから。プリレボには負けてほしくないなという気持ちもあるからちょっと複雑な気持ちだけど。
「ルミナイは前世、本当に同じ組織に所属していた。前世からの幼なじみな感じとか団結力とか……強みだよなぁ。いつかプリレボは本当に追い抜かれてしまうのかなぁ……」
「そたくん! 団結力はプリレボも負けてはいません! それにプリレボは無敵な魅力が詰まったアイドルグループなので大丈夫です!」
「ははっ、そうだよね。ルミナイの勢い最近凄かったからちょっと自信なくしてたわ。いつきんの自信に今、救われたよ。ありがとう」
「お礼なんて……むしろ強め発言してしまってごめんなさい」
「いや、あやまらないで? いつきんにはもっと強気な意見も言ってほしいからさ、言ってね?」
「はい、言えるように頑張ります。そしてさっきの話の続きなのですが、設定を作ったらプリレボからさらに選抜して二、三人ぐらいのユニットを組み、この深い関係をずっと見守っていたいと思えるようなミュージックビデオを作りたいです」
「いいね」と全員、良い反応をしてくれている。
「あとは、プリレボはプライベートも王子のままだから、ありのままの姿で食べ歩きとか、僕の撮った風景の中に彼氏役として途中から登場し、カメラに向かって胸キュンなひとことを呟いたりしてほしいです!あとは実際にレッスンをしている風景などを……」
「ははは! 早口で勢いがすごいね。ちょっと覚えきれないからストップしようか。書いてまとめようか」
「はい、早口すぎてすみません……」
そたくんがノートとボールペンをくれた。
「すごいないつきん! 色々考えていたんだね。これからはいつきんもどんどん企画プロデュースしてみたらよいかもね。企画考えるのすごく楽しいよ! ひとつずつ順番に実行していこう!」
「はい、しーおんくん! 頑張ります!」
れんくんも横で微笑みながら頷いてくれた。
意見を言って、認めてもらえて――僕はとてもうれしくなってワクワクした。
いつも言うまでがとても緊張してドキドキだけど、勇気を出して気持ちを伝えれば楽しい未来が待っているんだって最近思える。それはきっと、僕の気持ちを受け止めてくれるプリレボメンバーのお陰。
「じゃあさ、プリレボ動画配信のチャンネルでいつきんプロデュースコーナー作ったら良いんじゃない?」
「ぼ、僕のコーナー?」
「どんどんやって行こうよ! 僕たちも本気で頑張るから」
「ありがとう、みずっきくん。そしてみんなも本当にありがとうございます! プリレボの魅力を世界に発信したいです、します!」
僕は『任せてください!』と気持ちを込めながら、自分の胸をドンとたたいた。
プリレボのみんなが、僕の想像していた世界に来てくれる。ドキドキだけど、それ以上に楽しみ。
もっとたくさんの人たちにプリレボの魅力が伝わると良いな。伝わりますように!
僕は両手を合わせぎゅっと握ると強く願った。
そうして僕がプロデュースする企画が始まった。
「……『いつも応援しています。学校での企画も楽しみにしてます』『エンタメ特別放送部でもまた何かして欲しいです』と、これで全部です」
僕はエンタメ特別放送部に寄せられたアンケートを全て読み終えた。活動出来ていないのにたくさんのあたたかい声があって、ありがたい気持ちをかみしめると心の奥がじんとした。
「最近エンタメ特別放送部の企画できていないよなぁ。新しい勢力にも押され気味だし……新しい悩みが増えていくな……」
そたくんは何度もため息をつき、珍しくとても悩んだ表情をしている。
学校のこともだけど、僕も今、色々考えないといけないことがあるなぁ――。
本当にそう。
僕自身個人的に悩んでいることもある。昔からプリレボのことを応援しているファンから『いつきん、他の四人と実力差がありすぎ』『売れてるプリレボに努力しないで混ざれたいつきw』など、悲しいことを言われたりもしていた。
一番心に刺さったのは『応援したくなる個性がないよね』だった。
前までの僕ならきっと、ウジウジしているだけだったと思う。
だけど今はそう思われないように努力をもっとする!って思えたり、自分の個性ってなんだろう……どうしたらもっとプリレボの一員として活躍できるか?なんて考えられるようになった。プリレボメンバーのお陰で。
最近はプリレボに加入させてもらってからプリレボ以外の業界の世界にも注目するようになった。
前にも教えてもらったけれど、本当に世間の流行は移り変わるのが早い。止まっていると置いていかれるような気がした。僕たちだって例外ではない。
そたくんも悩んでいたけれど新しいグループが最近勢いを増している。特に、どんなことでも挑戦をする動画配信を主として活動しているダーク系騎士たち五人組アイドルグループ〝ルミナスムーンナイト〟にプリレボのファンたちが流れて行ってしまっている。ちなみにルミナイは週に一回は必ず配信をしていて、身近なアイドルを売りにしている。
プリレボの中ではいつも誰かに助けられていて受け身だった僕。
これからは何か新しいことを提案したい、もっとプリレボのために何かをしたい!とも日々悩んでいた。
――僕はこれから、僕の得意なことで頑張っていきたい。
やってみたいことは噴水のように湧き上がりすぎている。
でも企画提案しても成功するかもわからないし、メンバーは忙しそうだし……なかなかメンバーに意見を伝えられずにいた。
だけど今、妄想した企画のひとつを伝えられるタイミングのような気がする。
僕は震える手をぎゅっと握り、勇気を出して口を開いた。
「あの、たくさん想像している企画のひとつに、学校でやる企画の提案があるのですが、よろしいですか?」
全員が優しく「いいよ」と頷いてくれた。
「いつきんプロデュース企画 ~学校のみんなと一緒に学校のプロモーション映像を制作してみよう!企画です。学校紹介しながらさりげなく僕たちのこともアピールする感じの……」
反応が気になり、全員の顔をひとりひとり上目遣いで確認する僕。
「楽しそうだね。完成のイメージがすぐに浮かび上がってきた。いいんじゃない?」と、一番初めに反応してくれたのは、しーおんくんだった。良い反応に僕はホッとした。
「うれしい反応をありがとうございます。参加してくれる生徒たちも楽しい思い出が出来るかなぁと思って……あと、プリレボのいるこの学校を選んで良かったってなってくれたらいいなとも思いまして」
「じゃあ学校側に企画内容を伝えないとな……」と、そたくんも前向きに検討してくれている。
みずっきくんとれんくんも微笑みながら頷いてくれた。
「ところでいつきん、たくさん想像企画してるって今言ってたけど、他にもあるの? いつきんもプリレボメンバーなんだから、どんどん意見言ってね」
しーおんくんが笑顔でそう言ってくれた。
僕が意見を言っても、みんなはこうして受け入れてくれるんだ!
「では今、想像している企画をお伝えします! こういう企画をしたら僕含めファンのみんなが喜んでくれるかなって思って――まずは、実はメンバーたちはそれぞれ前世でも深い繋がりがあったんだなと思えるような設定を作りたいです」
「ルミナイみたいにだ?」
「そうです!」
ルミナイの名前を出しながらそたくんは眉をギュッとよせた。
「ルミナイと言えば、こないだ『プリレボを追い抜く!』なんて動画配信で発言もしていたな……」
「打倒ルミナイ、かな?」
そたくんの呟きにみずっきくんはそう言った。
プリレボを追い抜く、ルミナイを打倒――お互いのグループはそれぞれこんな風に思っている。だけど僕の頭の中には別の意見もあった。
この場では言えないけれど、このふたつのグループはお互いに警戒している雰囲気だけど、変わってほしいなと密かに願っていた。例えばコラボをしたり? だって、あっちのファンがプリレボの魅力を知り、応援してくれるようになるかもだし、何よりもコラボしているところをファンとして見てみたいから。プリレボには負けてほしくないなという気持ちもあるからちょっと複雑な気持ちだけど。
「ルミナイは前世、本当に同じ組織に所属していた。前世からの幼なじみな感じとか団結力とか……強みだよなぁ。いつかプリレボは本当に追い抜かれてしまうのかなぁ……」
「そたくん! 団結力はプリレボも負けてはいません! それにプリレボは無敵な魅力が詰まったアイドルグループなので大丈夫です!」
「ははっ、そうだよね。ルミナイの勢い最近凄かったからちょっと自信なくしてたわ。いつきんの自信に今、救われたよ。ありがとう」
「お礼なんて……むしろ強め発言してしまってごめんなさい」
「いや、あやまらないで? いつきんにはもっと強気な意見も言ってほしいからさ、言ってね?」
「はい、言えるように頑張ります。そしてさっきの話の続きなのですが、設定を作ったらプリレボからさらに選抜して二、三人ぐらいのユニットを組み、この深い関係をずっと見守っていたいと思えるようなミュージックビデオを作りたいです」
「いいね」と全員、良い反応をしてくれている。
「あとは、プリレボはプライベートも王子のままだから、ありのままの姿で食べ歩きとか、僕の撮った風景の中に彼氏役として途中から登場し、カメラに向かって胸キュンなひとことを呟いたりしてほしいです!あとは実際にレッスンをしている風景などを……」
「ははは! 早口で勢いがすごいね。ちょっと覚えきれないからストップしようか。書いてまとめようか」
「はい、早口すぎてすみません……」
そたくんがノートとボールペンをくれた。
「すごいないつきん! 色々考えていたんだね。これからはいつきんもどんどん企画プロデュースしてみたらよいかもね。企画考えるのすごく楽しいよ! ひとつずつ順番に実行していこう!」
「はい、しーおんくん! 頑張ります!」
れんくんも横で微笑みながら頷いてくれた。
意見を言って、認めてもらえて――僕はとてもうれしくなってワクワクした。
いつも言うまでがとても緊張してドキドキだけど、勇気を出して気持ちを伝えれば楽しい未来が待っているんだって最近思える。それはきっと、僕の気持ちを受け止めてくれるプリレボメンバーのお陰。
「じゃあさ、プリレボ動画配信のチャンネルでいつきんプロデュースコーナー作ったら良いんじゃない?」
「ぼ、僕のコーナー?」
「どんどんやって行こうよ! 僕たちも本気で頑張るから」
「ありがとう、みずっきくん。そしてみんなも本当にありがとうございます! プリレボの魅力を世界に発信したいです、します!」
僕は『任せてください!』と気持ちを込めながら、自分の胸をドンとたたいた。
プリレボのみんなが、僕の想像していた世界に来てくれる。ドキドキだけど、それ以上に楽しみ。
もっとたくさんの人たちにプリレボの魅力が伝わると良いな。伝わりますように!
僕は両手を合わせぎゅっと握ると強く願った。
そうして僕がプロデュースする企画が始まった。



