社畜女の愛され白書〜三十路の社畜OLは出会った翌日に八才年下男子と結婚しました〜

姉ちゃんとの電話が終わって病室に戻ると、すぐに夕食が運ばれてきた。

病院のバランスいいご飯を食べて、自分に欠けていたものがわかる。

食べ終わったあと、勇凛くんの買ってきてくれたまちがい探しをしながら物思いに耽っていると、カーテンが開いた。

看護師だった。

「川崎さんどうですか?」

「少し回復した気がします。もう大丈夫です」

「退院しても無理しちゃダメですよ。旦那さんすごい心配してたんですから」

旦那さん……。
違和感しかない。

「最初、彼氏さんかと思ってたのに、夫ですって言われてびっくりしました」

看護師が笑っている。

「旦那さんのためにも、川崎さんが元気でないと」

「はい、そうですね……」

勇凛くんに、これ以上心配かけたくないと思った。

「明日の血液検査の結果が問題なければ、明日か明後日には退院できると思いますよ」

そう言って看護師は去った。

ああ、やっと現実に戻れる……。

──と思っていたのに。

「あまり変わってないですね。もう一日様子を見ましょう」

医師から告げられた。

どうしよう……月曜の仕事……。

医師がいなくなった後、途方に暮れていた。

すると、スマホに通知がきた。

勇凛くんからだった。

『体調どうですか?』

勇凛くんに伝えなきゃ。

私は電話スペースで勇凛くんに電話した。

『はい』

勇凛くんの澄んだ声。

「おはよう。もう一日入院になったんだ」

『そうですか……。じゃあ今日も行きます』

「来なくても大丈夫だよ。私一人でも平気だから」

『俺が行きたいんです』

胸がぎゅっとなった。

「わかった。勇凛くんの好きなタイミングで来ていいよ」

『はい、じゃあ急いで準備します。待っててください』

勇凛くんと電話を切った後、淡い幸福感が湧き上がってきた。

こんな気持ちを感じたのはいつぶりだろう。

もう二度と訪れないと思った感情に戸惑うばかりだった。