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「急な話でごめん。そろそろ君に打ち明け協力を求めて、緩やかに根回しを進める予定だったのだけど……」
父から全て打ち明けられた翌日、ルイーゼはぽかんと口を開けてフリンクにじゃれつかれるオリヴァーを眺めた。オリヴァーは眉を下げて笑い、ルイーゼを見つめる。
「先日の君の様子を見て、思ったんだ。もしかしたら君も、私と同じ想いを持ってくれたんじゃないかと。そう思うと気が逸って」
オリヴァーは持っていたボールを投げフリンクを走らせて、真っ直ぐルイーゼに向き合った。
「まさか自分にこれほど急激な変化が起こるとは想定していなくて。でも」
オリヴァーがルイーゼの前で片膝をつく。一度目を伏せ、艷やかな笑みを浮かべてルイーゼを見上げた。
「私が、思惑抜きで本当に恋に落ちてしまって。貴方とフリンクと一緒ではない未来はもう思い描けないんだ。ルイーゼ、私と結婚してくれますか?」
そう言って、オリヴァーはルイーゼに手を差し出す。ルイーゼは震えるくちびるを片手で押さえ、そっと差し出された手に手を重ねた。
「ええ、もちろん。わたくしも同じ想いだもの……!」
オリヴァーが笑みを深めてゆっくりと立ち上がる。ふたりは手を取り見つめ合う。ボールを咥えて戻ってきたフリンクが、新しい遊びだと思って飛びついてきた。
「わあ! 待って、もうフリンク!」
突然の衝撃にルイーゼがよろめいて、オリヴァーがそれを支える。ふたりは声を上げて笑い、地面に膝をついた。飛び込んでくるフリンクをルイーゼがぎゅっと抱きしめる。
「お前本当に、ちょっぴりぬけててとびきり可愛くて、その上たくさんの幸せをくれる、『幸運を運ぶ犬』ね!」


