§
ルイーゼが恋心を自覚してからまだ間もない日。ルイーゼは突然父から書斎に来るよう言いつけられた。
「どうなさったの、お父様」
「うん、そのねえ、急なことだと思うんだけど」
ファルケンシュタイン公爵はルイーゼを呼び出しておきながら、歯切れ悪く言い淀む。言葉を探すように視線をうろつかせ、ンンッと咳払いをし、公爵はルイーゼを見据えた。
「ルイーゼ、お前オリヴァー殿下をどう思う?」
「どうもなにも。聡明でお優しく、尊敬できる方だと思っておりますけれど」
ルイーゼはしれっとそう答えながら、拳を握りしめた。ルイーゼの想いが勘付かれたのか。釘を差すため呼び出されたのだろうか。それとも、まさかもう縁談が。ルイーゼは必死に動揺を抑え、父を見返した。
「そうかぁ…………」
ファルケンシュタイン公爵はなぜかがっくりと肩を落とし、深いため息をついて。なんだかとても嫌そうな、苦々しい顔つきでしぶしぶ口を開いた。
「じゃあオリヴァー殿下との縁談を進めるけれど、構わないね?」
「は!?」


