ボールを垣根の隙間にいれてしまったと、フリンクに呼ばれたこともあった。ルイーゼは誰か、と使用人を呼ぼうとしたけれど、オリヴァーは愉快げに笑って上着を脱ぐ。
「持っていて」
そう言われ預けられた上着にルイーゼがぽかんと口を開けると、オリヴァーはためらいなく地に手をついて垣根の隙間に腕を伸ばす。呆気にとられるルイーゼと、くうんと鼻を鳴らしオリヴァーを見つめるフリンク。「ほら、気を付けて」とオリヴァーが取れたボールをフリンクに与えて、フリンクは喜んでボールを咥える。王子殿下になんてことをさせるのだ、うちの犬は……と、ルイーゼは言葉を失ってフリンクを凝視した。
クッションの上で伸びて眠るフリンクに思わず吹き出したこともある。仰向けに腹を見せ、くぅん、ヴヴッと寝言をもらす。
「お前、犬でしょう?」
と。思わずそうつぶやいてしまうくらい、伸びて眠るフリンクが可愛らしくて可笑しかった。


