鈍感な私は愛されヒロインです!?

 教室に戻ると、さっきまでの理科室の空気が嘘みたいに、いつものざわざわした昼休みが広がっていた。

 私は鞄からお弁当を取り出して、自分の席に座る。
 特別クラスとはいえ、昼休みだけは普通の高校生と変わらない。

「今日、購買混んでたわ」

「へぇ、珍しいな」

 そんな会話があちこちで聞こえる中、私は箸を持って、ふっと息をついた。
 理科の時間のことを思い出しかけて、首を振る。

 気にしすぎ。

 そう自分に言い聞かせて、お弁当を開けた、そのとき。

「……それ、手作り?」

 ふいに、横から声がした。

 顔を上げると、瀬名くんが隣の机に腰掛けて、私のお弁当を覗き込んでいる。
 いつの間に来たのか分からない距離感。

「うん。朝、作った」

「へえ」

 興味深そうに、でも深掘りはしない。
 瀬名くんは自分のパンをくるくる回しながら、何気ない調子で続けた。

「桜庭さ、こういうのちゃんとしてるよな」

「そうかな」

「そうそう。見た目と違って」

 どういう意味か分からなくて首をかしげると、瀬名くんは小さく笑った。

「いや、なんでもない」

 そのままパンを一口かじって、視線を前に戻す。
 深い意味はなさそうなのに、さっきの理科の時間と同じで、少しだけ引っかかった。