鈍感な私は愛されヒロインです!?

 実験は何事もなく進んだ。
 黒崎くんが器具を乱暴に扱って先生に睨まれたり、瀬名くんが適当なことを言って笑われたりはしたけど、それもこのクラスではいつも通り。

 私は指示通りに片付けをして、ビーカーを洗って、水気を切る。
 気を抜くと割りそうで、最後まで気が抜けなかった。

「もういいだろ」

 黒崎くんがスタンドを机に置いて、椅子にどさっと座る。
 その拍子に、少し傾いた器具を、月城くんが無言で直していた。

「はいはい、片付け終わりな人ー」

 瀬名くんが手を上げて、先生にアピールする。
 先生はため息をつきながらも、黒板に終了の合図を書いた。

「じゃあ、次は昼休みだ。器具、確認してから戻れよ」

 その言葉とほぼ同時に、チャイムが鳴る。

 一斉に空気が緩んで、教室がざわつき出す。
 椅子を引く音、誰かの笑い声、机を叩く音。

 私はエプロンを外しながら、ふと周りを見た。

 月城くんはもう片付けを終えていて、黙々と手を洗っていた。 
 黒崎くんは友達に何か言いながら笑っている。
 瀬名くんは私の方を一瞬見て、すぐに視線を逸らした。

 ……気のせい、だよね。

 そう思いながら、私はノートを閉じて、昼休みの準備を始めた。