鈍感な私は愛されヒロインです!?

 なんだろう。
 私、変なこと考えてるのかな。

「昨日さ」

 瀬名くんが、急に思い出したみたいに言った。

「学園祭、結構人来てたよな」

「あー、来てたね」

 私がそう返すと、黒崎くんが鼻で笑う。

「問題児クラスにしては上出来だろ」

「それ褒めてる?」

「一応な」

 そんな会話に、少しだけ安心する。
 ほら、やっぱりいつも通りだ。

 私はお弁当の蓋を開けて、箸を持つ。
 いつもと同じ味、同じ時間。

 なのに、
 視線が合うたび、ほんの一瞬だけ、間が生まれる。

 理由はわからない。

「ひより、卵焼きそれ手作り?」

 瀬名くんが、覗き込む。

「うん。朝作った」

「いいなー」

「取らないでよ」

「冗談だって」

 笑いながら言う声も、いつも通り。
 なのに、なぜか胸の奥が少しだけ落ち着かない。

 私は箸を動かしながら、教室を見渡した。
 いつもの昼休み。
 いつものメンバー。

 ――それなのに。

「……ほんとに、いつも通り?」

 心の中でそう思った瞬間、
 月城くんと目が合って、すぐに逸らされた。

 その仕草が、妙に引っかかる。

「……?」

 首を傾げながら、私はまたお弁当に視線を戻した。
 深く考えるほどのことじゃない。
 たぶん。

 昼休みは、
 いつも通り、のはずだった。