鈍感な私は愛されヒロインです!?

 学園祭の校内は、時間が進むにつれて少しずつ雰囲気を変えていった。
 昼間の騒がしさが落ち着いて、夕方が近づくと、人の流れもゆっくりになる。

「はー、さすがに疲れた」

 瀬名くんが、壁に背中を預けて伸びをする。

「そりゃずっと呼び込みしてたらな」

 月城くんが、片付けながら淡々と返す。
 その横で、黒崎くんは腕を組んで周囲を見回していた。

「最後まで気抜くなよ、桜庭」

「はいはい」

 返事をしながら、私はチラシの残りをまとめる。
 学園祭は楽しいけど、こうして終わりが見えてくると、少しだけ名残惜しい。

 他のクラスの生徒が、笑いながら通り過ぎていく。
 写真を撮ったり、戦利品を見せ合ったり。


 学園祭は終わりに近づき、クラスの持ち場が一段落した。
 教室の中は、さっきまでの慌ただしさが嘘みたいに落ち着いている。

「とりあえず、今日はここまでだな」

 黒崎くんがそう言って、腕を回す。
 疲れているはずなのに、どこか名残惜しそうだ。

「学園祭って、終わりかけが一番静かだよね」

 瀬名くんが、机に腰をかけながら言う。

「わかる。急に現実に戻される感じ」

 私がそう返すと、月城くんが小さく頷いた。

「片付け、手分けしよう」

 その声で、みんなが動き出す。
 いつも通りの流れ。
 いつも通りの会話。

 校門へ向かう途中、私は歩くスピードを少し落とした。
 理由は特にない。

 学園祭の終わりって、どうしてこんなに静かなんだろう。

「……楽しかったな」

 誰に言うでもなく、心の中で呟く。