鈍感な私は愛されヒロインです!?

放課後、教室のざわめきが少し落ち着く。
クラスのみんなは荷物を片付け終えて、それぞれ帰り始めていた。

黒崎くんは黙々と、まだ机の上に残った荷物を片付けながら、周りを見渡している。
「みんな忘れもんしてねぇかな……」

いつもは強気で不器用に見えるけど、こういう細かい気遣いはさすがだ。

「黒崎くん、意外と面倒見いいんだ……」
と思わず小さな声でつぶやいた。

月城くんは黙って本を机に戻しながら、ちらりと黒崎くんを見た。
「……ほんと、こういうやつだな」
と小さな微笑みを見せた。


鞄を整理していると、黒崎くんが少し離れた場所から声をかけてきた。
「……桜庭、忘れ物ないか?」
「大丈夫、ありがとう」
黒崎くんは小さくうなずき、少し照れたように視線を逸らす。

瀬名くんはふざけながらも、鞄の中をちらりと覗き込んできた。
「おっと、今日もきれいに詰めてるな」
「勝手に見ないでよ」
「まぁ、ちょっと確認しただけだ」

私は鞄を閉じ、席を立った。
廊下に出ると、放課後の光が校舎を柔らかく照らしている。

教室の方へ目を向けると、黒崎くんと瀬名くん、月城くんが楽しそうに笑っている姿がちらりと目に入る。

瀬名くんが私に気づいて優しい微笑みを見せた。
「ひより、また明日なー!」
つづけるように、黒崎くんと月城くんも軽く手を振った。

私はそれに応えるように手を振り、
「また明日ね!」

少し胸が温かくなるのを感じながら、帰り道を歩き出した。