鈍感な私は愛されヒロインです!?

 今日も教室に入ると、男子たちはそれぞれ違う方向を向いていた。
 ——なんとなく、視線を感じる気がするけど、気のせいかも。

「おはよー、ひよりちゃん」

 瀬名くんが軽く笑いかけてくる。
 ……そういえば、なんかいつもより近くにいる気がする。
 でも、まぁ、別に普通だよね。

「おはよう、瀬名くん」

 返すと、にやっと笑った。

 黒崎くんは後ろから机に肘をつき、無言でこちらを見ている。
 視線が強い気もするけど、いつも通りだよね、うん。

「……またじろじろ見てる?」

 小さく呟くと、彼はちらっと目を逸らした。
 ——たぶん、何も考えてない。よね。

 月城くんも席に座り、いつも通り本を読んでいる。

 理科の授業が始まると、先生の説明をノートに書き写す。
 男子たちはそれぞれ自分の席で、いつも通り授業に集中しているようだった。

 瀬名くんは小声で、教科書のことを教えてくれる。
 「ありがとう」と言うと、にやっと笑った。

 チャイムが鳴り、授業が終わると教室は一気にざわつき始めた。
 男子たちはそれぞれ、いつも通りの足取りで帰り支度をしている。

 黒崎くんは無言で机を片付け、いつも通り背もたれに寄りかかる。
 でも、その無言の佇まいは、どこかいつもより落ち着いて見えた。

 月城くんは鞄を整えながら、教科書に目を落としている。
 いつもの通り、淡々とした仕草。

 瀬名くんは、教室の前で軽く手を振っている。
 「こっち来いよ」みたいな笑顔だけど、私はただ、微笑み返す。