鈍感な私は愛されヒロインです!?

 そのとき、廊下の角で小さな騒ぎが起きた。
 誰かが足元でつまずき、荷物が散らばる。

「おい、大丈夫か?」

 黒崎くんがすぐに反応し、散らばった荷物を拾い始める。
 月城くんもさりげなく手を差し伸べ、瀬名くんは軽く笑いながら声をかける。
「気をつけてね」

「あ、ありがとうございます……」
 そう言って、去っていった。


 こういうところだ。
 困っている人がいるとすぐに手を差し伸べる。

 優しくて、嘘がなく、あったかい。

 気取ってなくて、かっこつけてなくて、でもそれがかっこよくて。


 男子たちの行動ひとつひとつが、自然と私の心に触れる。


 夕暮れの光の中、私は少しだけ振り返る。
 黒崎くんの横顔、月城くんの優しさ、瀬名くんの笑顔。
 全部が、今日一日を特別にしてくれた。

 ——明日も、きっと、何かが起こる。

 心の中でそう思いながら、私はゆっくりと校門をくぐった。