鈍感な私は愛されヒロインです!?

 チャイムが鳴って、今日の授業が終わった。
 教室内は一気にざわつき、私も筆記用具とノートを片付ける。

 黒崎くんが、いつもの無表情で机を見回す。
 背中越しに視線を感じるけど、声をかける勇気は出なかった。

 机の下から教科書を引き出すと、すぐ隣から軽い声。

「ひよりちゃん、手伝おうか?」

 振り向くと、瀬名くんが笑っている。
 さりげなく手を差し伸べてくれた。

「大丈夫、自分でできるよ」

 答えると、にやっとされる。
 少し照れくさくて、顔が熱くなる。

「じゃあ、俺はこの辺見て回るから」

 そう言うと、瀬名くんは教室の前方へ歩き出した。
 やっぱり、軽く空気を回すのが上手い。

 黒崎くんは黙々と荷物をしまっている。
 私が手を止めると、ちらりと視線を投げてきた。
 ——無言だけど、何か言いたげ。

 ふと後ろを見ると、月城くんが少し離れた場所で立っていた。
 こちらを見ているわけじゃないけど、存在感だけで何かを伝えてくる。

 黒崎くんが鞄を肩にかけて立ち上がる。

 私も準備を終えて、椅子を引いた。
 黒崎くんの隣を通ると、少しだけ距離が近く感じる。