鈍感な私は愛されヒロインです!?

 何か言うのかと思ったけど、
 そのまま教室の後ろへ向かっていく。

「黒崎くん?」

 思わず呼ぶと、足が止まった。

「なに」

「さっきの紙——」

「気にすんな」

 振り返らずに、短く言う。

「前、出るな」

 さっきと同じ言葉。
 でも声は、少しだけ低かった。

「……うん」

 そう返すと、黒崎くんはそれ以上何も言わず、教室を出ていった。

 残された私は、少しだけ考える。

 心配、なのかな。
 それとも、ただの注意?

「難しい男だね」

 瀬名くんが、ぽつりと言った。

「そう?」

「そう」

 チャイムが鳴って、次の授業が始まる。

 私はノートを開きながら、
 さっきのやり取りを、頭の片隅にしまった。

 ——まだ、よく分からない。