鈍感な私は愛されヒロインです!?

 次の日の昼休み。

 私はいつも通り席でお弁当を広げていた。

「お、今日も手作り?」

 横から、軽い声。

 顔を上げると、瀬名くんが机に肘をついて覗き込んでいた。

「うん。昨日の残りだけど」

「十分すごいでしょ、それ」

 勝手に感心しながら、向かいの席に腰を下ろす。

「なあ新――」

「新入りは禁止」

 即座に言うと、瀬名くんは一瞬きょとんとしてから、吹き出した。

「はは、覚えてた?」

「毎回言われるからね」

「じゃあ今日は特別に」

 少し考えるふりをして、

「ひよりちゃん」

「その“ちゃん”も慣れない」

「え、そこ?」

 わざとらしく肩をすくめる。

「贅沢だなあ。黒崎なんて名字呼びなのに」

 その名前が出て、少しだけ間が空いた。

「……黒崎くん、今日静かじゃない?」

「そう?」

「うん。さっきから窓の外ばっか見てる」

「喧嘩でもしたのかな」

「いやー、あれはたぶん」

 瀬名くんは弁当の唐揚げを一つつまみながら、軽く言った。

「面白くないだけ」

「なにが?」

「さあ?」

 にやっと笑う。