鈍感な私は愛されヒロインです!?

 帰り支度をしていると、後ろから椅子を引く音がした。

「……なあ」

 黒崎くんだった。

「なに?」

「さっき、生徒会室行ってたよな」

「うん」

「会長」

 一拍置いてから、低く言う。

「気に入らねぇ」

「え、なんで?」

 思わず聞き返すと、黒崎くんは舌打ちする。

「理由なんかいらねぇだろ」

「いるでしょ」

「……」

 少し黙ってから、視線を逸らす。

「ああいう奴、信用できねぇ」

「会長、普通だったよ」

「そういうとこだ」

 短く言い切る。

「普通に見えるのが、だ」

 それ以上は何も言わず、鞄を持って立ち上がる。

「気をつけろよ」

「なにを?」

 返事はない。

 ただ、背中越しに一言。

「離れてるほうが、危ねぇ奴もいる」

 それだけ言って、教室を出ていった。

 残された私は、しばらくその場で立ち尽くした。

 ――黒崎くんが、
 あんな言い方をするなんて。