「でも、いいの?」
「はい」
「先輩だから、っていうのもあるし……」
少し照れたように笑う。
「それに、特別な感じがして」
「特別って」
「そのままの意味です」
真っ直ぐすぎて、何も言えなくなる。
「じゃあ、また明日」
「うん、またね、蒼くん」
手を軽く振って別れる。
少し歩いてから、さっきの呼び方が頭に浮かんだ。
蒼くん。
クラスも違うし、会う時間だって多くないはずなのに。
それなのに――
距離だけは、確実に近づいていた。
少し離れた場所で。
「……蒼くん、ねえ」
瀬名くんが、その様子を見ていたことを、私はまだ知らない。
次の日の昼休み。
教室でお弁当を机に広げていると、前の席から椅子を反対向きにして瀬名くんが座ってきた。
「ねえ、ひより」
「なに?」
「昨日さ」
箸を持ったまま顔を上げる。
「廊下で後輩くんと話してたでしょ」
「話してたけど」
「呼び方」
にやっと笑う。
「はい」
「先輩だから、っていうのもあるし……」
少し照れたように笑う。
「それに、特別な感じがして」
「特別って」
「そのままの意味です」
真っ直ぐすぎて、何も言えなくなる。
「じゃあ、また明日」
「うん、またね、蒼くん」
手を軽く振って別れる。
少し歩いてから、さっきの呼び方が頭に浮かんだ。
蒼くん。
クラスも違うし、会う時間だって多くないはずなのに。
それなのに――
距離だけは、確実に近づいていた。
少し離れた場所で。
「……蒼くん、ねえ」
瀬名くんが、その様子を見ていたことを、私はまだ知らない。
次の日の昼休み。
教室でお弁当を机に広げていると、前の席から椅子を反対向きにして瀬名くんが座ってきた。
「ねえ、ひより」
「なに?」
「昨日さ」
箸を持ったまま顔を上げる。
「廊下で後輩くんと話してたでしょ」
「話してたけど」
「呼び方」
にやっと笑う。


