鈍感な私は愛されヒロインです!?

「後輩くん、素直すぎ」

「え?」

「いや、こっちの話」

 そう言って、私を見る。

「ねえ」

「なに?」

「自覚ないでしょ」

「なにが?」

 瀬名くんは、少しだけ目を細めた。

「まあ、いいや」

 軽く肩をすくめる。

「そのうち分かると思うし」

「なにそれ」

「さあ?」

 意味ありげに笑って、前を向いた。

 桐谷くんはというと、まだ少し緊張したまま立っている。

「クラス、戻る?」

「は、はい」

 そう言って去っていく背中を見ながら思う。

 瀬名くんの言葉も。
 桐谷くんの距離も。

 どっちも、よく分からない。

 ――でも。

 少なくとも一人は、もう気づいている。

 私より先に。