鈍感な私は愛されヒロインです!?

 力は弱いけど、すごく慌てているのが伝わってきた。

「ご、ごめんなさい!」

「え? なんで謝るの」

「と、とっさに……」

 すぐに手を離すけど、指先の感覚が少し残る。

 桐谷くんは、耳まで赤くなっていた。

「……先輩」

「なに?」

「その、距離……」

 一瞬、言葉が止まる。

「近いと、緊張します」

 正直すぎる。

「……私も、ちょっとびっくりした」

 そう答えると、さらに赤くなる。

「すみません」

「だから、謝らなくていいって」


 校門が見えてくる。

「これからも、先輩に頼っていいですか」

 さっきより、少しだけ真剣な声。

「もちろん」

 何も考えずに答えた。

「困ったら、声かけて」

 その言葉に、桐谷くんは少し黙ってから、笑った。

「……はい」

 その笑顔が、妙に胸に残る。

 年下なのに。
 後輩なのに。

 ――なんで、こんなに意識しちゃうんだろう。