鈍感な私は愛されヒロインです!?

 校舎の外に出ると、空が少しだけ赤くなっていた。

「……あの」

 桐谷くんが、隣を歩きながら声をかけてくる。

「桜庭先輩」

「ん?」

「今日、ありがとうございました」

「また?」

 思わず笑ってしまう。

「そんなに何回も言わなくていいよ」

「でも……」

 言葉を探すみたいに、一度立ち止まる。

「先輩がいなかったら、たぶん、僕……」

「大丈夫」

 私は足を止めて、振り返った。

「ちゃんと話せてたよ」

 そう言うと、桐谷くんは少し困った顔をしてから、照れたように笑った。

「……先輩、優しすぎです」

「そう?」

「はい」

 即答。

 それがなんだか、おかしくて、また笑ってしまう。

 昇降口に近づくと、人の気配が少なくなっていた。

「家、どっち?」

「駅の方です」

「じゃあ一緒だね」

 並んで歩き出す。

 歩幅が少し違って、桐谷くんが気を遣うみたいに歩くスピードを合わせてくるのが分かった。

「……あ」

 ふいに、足元で小さくつまずいた。

「大丈夫ですか?」

 反射的に、腕を掴まれる。