鈍感な私は愛されヒロインです!?

「よかったじゃん」

 瀬名くんが、軽く言う。

「完全にクロ扱いされたら、さすがにキツいでしょ」

「別に」

 黒崎くんはそう言いながら、少しだけ口元を歪めた。

「助けられたのは事実だ」

 その言葉に、瀬名くんが一瞬目を丸くする。

「珍し。素直じゃん」

「うるせぇ」

 でも、空気はもう刺々しくなかった。

 月城くんは、少し離れたところで二人を見てから、私の方に向き直る。

「桜庭」

「なに?」

「ありがとな、桜庭のおかげだ……」

 淡々とした声。

「感情で動いても、理屈だけでも、解決しなかった」

 一拍置いて、続ける。

「間に入ったから、話が前に進んだんだ」

「……そんな大したこと、してないよ」

 本音だった。

 ただ、放っておけなかっただけ。

「でもさ」

 瀬名くんが、にやっと笑う。

「結果的に、ひよりがキーパーソンだったってことでしょ」

「え、ちが――」

「否定すんなって」

 軽く肩を叩かれる。

「自覚ないとこが、一番タチ悪いんだから」

「それ、褒めてる?」

「半分ね」

 黒崎くんが、ふっと鼻で笑った。

「……変なやつ」

 その一言は、さっきまでのトゲのある声じゃなかった。