鈍感な私は愛されヒロインです!?

 廊下は、夕方の光が窓から斜めに差し込んでいた。

 生徒会の人たちや先生が行き来していて、いつもよりずっと慌ただしい。
 その中で、私はさっき見かけた一年生の姿を探していた。

「あ……」

 いた。

 廊下の端で、一人立っている。
 壁に背中をつけて、落ち着かなさそうに足元を見ていた。

 私は少しだけ迷ってから、近づく。

「……あの」

 声をかけると、その子はびくっと肩を揺らした。

「は、はい」

 緊張した声。

「もしかして、昨日の放課後のことで、話聞かれてた?」

「……はい」

 小さく頷く。

 近くで見ると、思ったより幼く見えた。

「私、二年の桜庭ひより。問題児クラスって呼ばれてるとこ」

 そう言うと、彼は一瞬、目を見開いた。

「……あ」

 何かに気づいたみたいな顔。

「き、桐谷です。桐谷 蒼」

 それから、慌てて付け足す。

「その……僕、嘘はついてません」

 その言葉に、胸が少しざわつく。

「でも、ちゃんと見た?」

「……正直に言うと」

 桐谷くんは、少し視線を泳がせた。