鈍感な私は愛されヒロインです!?

「その時間、別の場所にいた」

「それ、証明できる?」

 月城くんの問いは冷静だった。

「……できねぇ」

 沈黙。

 瀬名くんが、舌打ちをする。

「最悪じゃん、それ」

「だからって、俺がやったことになるのかよ」

 黒崎くんの声が低くなる。

「誰も、そうは言ってない」

 私は慌てて言った。

「まだ、何も――」

「でも、疑われてんだろ」

 黒崎くんは笑った。

 でも、その笑い方は、全然楽しそうじゃなかった。

「こういう時、俺みたいなのが一番便利だ」

 空気が張りつめる。

「ちょっと待って」

 瀬名くんが一歩前に出た。

「一人で全部背負う気? それ、違くない?」

「お前は関係ねぇ」

「関係あるでしょ」

 珍しく、瀬名くんの声が強くなる。

「同じクラスなんだから」

 月城くんが、静かに続けた。

「感情的になっても、状況は悪化するだけ」

「じゃあどうすりゃいいんだよ」

 黒崎くんが睨む。

「放っとけって?」

「ちがう」

 月城くんは一瞬、私を見た。

「目撃した一年生。そこから確認するべきだ」

「一年……」

 さっき廊下で見た、あの男の子が頭に浮かぶ。

 ――桐谷 蒼。

 このままじゃ、誰かが傷つく。

 それだけは、はっきり分かった。