鈍感な私は愛されヒロインです!?

 教室を出ると、廊下の向こうに、見慣れない一年生の姿があった。

 先生と話している、少し緊張した表情の男の子。

 ――あの子も、関係者なのかな。

 後で知ることになる。

 あの一年生が、桐谷 蒼だということを。

 そして、この大混乱の一日が、
 ただの誤解じゃ終わらないことを。

 
 
 別室といっても、使われていたのは空き教室だった。

 机と椅子が数脚並べられていて、窓から夕方の光が差し込んでいる。
 そこに、生徒会の腕章をつけた先輩が二人と、先生が一人。

 私はドアの近くの席に座った。

「緊張しなくて大丈夫ですよ」

 そう声をかけてくれた生徒会の人は、柔らかく笑った。
 でも、その後ろに立っているもう一人の先輩は、かなり真面目そうで、空気が引き締まる。

「昨日の放課後について、確認します」

 淡々とした口調。

「桜庭さんは、体育館には行っていませんね?」

「はい。すぐ帰りました」

「誰かと一緒に?」

「いえ、一人で……」

 質問はそれだけだった。
 思ったよりあっさりしている。

 教室を出ると、ちょうど向かいの部屋のドアが開いた。

 中から出てきたのは、瀬名くんだった。

「終わった?」

「うん。瀬名くんは?」

「俺も。まあ、聞かれたことは同じ」

 軽く言うけど、目は笑っていない。