放課後。
いつもなら一気に騒がしくなるはずなのに、今日は誰も立ち上がらない。
まるで、帰っていいのかどうか、様子をうかがっているみたいだった。
「全員、少し待て」
担任が教卓の前に立つ。
「これから、関係者への聞き取りを行う」
関係者、という言葉に、ぴくっと反応する人が何人もいた。
「昨日の放課後、体育館周辺にいた生徒は、順番に別室へ来てもらう」
ざわっと、今度ははっきりした動揺が広がる。
「なお、この件には生徒会も関与している」
その一言で、空気が変わった。
「生徒会……?」
誰かが小声で繰り返す。
「今回の責任者は、生徒会長の神楽坂 悠馬だ」
その名前を聞いた瞬間、教室が一瞬静まり返った。
――神楽坂悠馬。
この学校で知らない人はいない。
成績も人望もあって、先生からの信頼も厚い、生徒会長。
問題児クラスの私たちとは、正直、いちばん縁がなさそうな人だ。
「……本気じゃん」
瀬名くんが、ぽつりと呟く。
月城くんは、少しだけ眉を寄せた。
「生徒会が動くなら、曖昧なまま終わらせるつもりはなさそうだな」
黒崎くんは、何も言わなかった。
ただ、椅子の背にもたれて、天井を見上げている。


