鈍感な私は愛されヒロインです!?

 それを破ったのは、月城くんだった。

「噂、もう広がってる」

 淡々とした声。

「他クラスでも、“特別クラスがやった”って前提で話してる人が多い」

「はやっ」

 瀬名くんが眉を上げる。

「まだ何も決まってないのに?」

「そういうものなんだよ」

 月城くんは箸を置いて、私を見た。

「桜庭も、変なこと言われてないか?」

「え?」

「一緒にいるだけで、巻き込まれる可能性はある」

 その言い方は、冷たいというより現実的だった。

「でもさ」

 瀬名くんが口を挟む。

「それで距離置くとか、意味なくない? 何もしてないんだし」

「感情論」

「理屈だけで人は動かないでしょ」

 空気が、また少し張る。

「……くだらねぇ」

 低い声が割り込んだ。

 黒崎くんだった。

「好きに言わせとけよ。どうせ、俺がやったって思ってんだろ」

「黒崎」

 瀬名くんが名前を呼ぶ。

 黒崎くんは立ち上がって、鞄を掴んだ。

「外で食ってくる」

「ちょ、昼休み終わるよ?」

「知るか」

 そのまま教室を出ていく背中は、どこか刺々しい。