鈍感な私は愛されヒロインです!?

 昼休みのチャイムが鳴っても、教室はあまり動かなかった。

 いつもなら一斉に立ち上がって、購買だの廊下だのに散っていくのに、今日はみんな様子をうかがっているみたいだ。

 私は鞄からお弁当を取り出して、机の上に置いた。

「……今日は静かだね」

 思わず口に出すと、前の席から瀬名くんが振り返る。

「それ言っちゃう?」

 苦笑いしながら、椅子を逆向きにして座った。

「まあ、そりゃね。朝あれ言われたら、テンション上がる方が無理でしょ」

「そうだよね……」

 月城くんは少し離れた席で、もうお弁当を食べ始めていた。
 周りを気にする様子はないけど、耳だけはちゃんとこちらに向いている感じがする。

 一方で、黒崎くんは――

「……」

 机に突っ伏すでもなく、食べるでもなく、スマホも見ずに、ただ前を向いていた。

「黒崎、食わねーの?」

 瀬名くんが軽い調子で声をかける。

「腹減ってねぇ」

「絶対ウソ」

「うるせぇな」

 いつものやり取りのはずなのに、どこか引っかかる。

 私は少し迷ってから、黒崎くんの方を見た。

「……お弁当、あるの?」

「ある」

 即答。

「じゃあ、食べた方がいいんじゃ……」

「今はいい」

 それ以上、会話は続かなかった。

 変な沈黙が落ちる。