鈍感な私は愛されヒロインです!?

「ひよりってさ」

 唐突に、少しだけトーンが落ちた。

「このクラス、どう?」

「どうって?」

「問題児クラス」

 一瞬だけ、考える。

「……騒がしいけど、嫌いじゃないよ」

「へぇ」

「みんな正直だし」

「それ、褒めてる?」

「たぶん」

 瀬名くんはくすっと笑った。

「ひよりって、ちゃんと見てるよね」

「そうかな」

「うん。俺はそう思う」

 その言い方が妙に真剣で、少しだけ戸惑った。

「瀬名くんは?」

「俺?」

 箸を止めて、天井を見る。

「楽だよ。ここ」

 短い言葉だけど、嘘じゃない感じがした。

 少しして、瀬名くんが私の弁当を指さす。

「それ、俺にも一口ちょうだい」

「急だね」

「ほら、等価交換」

 そう言って、自分のおかずを差し出してくる。

「……まあ、いいけど」

 一口分だけ渡すと、瀬名くんは満足そうに頷いた。

「やっぱちゃんとしてる」

「だから何それ」

「ひより評価、じわじわ上がってる」

「つけなくていいよ、そんなの」

 そう言いながらも、悪い気はしなかった。

 昼休みの後半、教室の騒ぎが少し落ち着く。

 瀬名くんは椅子にもたれて、ぼんやり外を見ていた。

「午後、体育だっけ」

「うん」

「だる」

「ちゃんとやりなよ」

「ひよりが言うと説得力あるな」

「なんで?」

「なんとなく」

 理由は言わない。
 でも、視線はこっちに向いていた。