鈍感な私は愛されヒロインです!?

保健室を出る頃には、外はもう少し暗くなっていた。

「送る」

「え?」

「階段、危ない」

並んで歩きながら、私は思う。
今日の体育は、ただの授業だったはずなのに。

……月城くん、思ってたよりずっと優しい。

クールで、距離があって、近づきにくい人だと思ってた。
でも、ちゃんと見てて、ちゃんと手を伸ばしてくれる。

「……今日は、ありがとう」

私が言うと、月城くんは少しだけ困った顔をして。

「礼、言われることじゃない」

そう言いながらも、歩く速度を最後まで合わせてくれた。

その背中を見ながら、胸の奥がじんわり温かくなる。

今日、確実に距離が近づいた気がする。

そう思えた放課後だった。

昇降口が近づいて、私は月城くんにもう一度だけお礼を言った。

「今日はほんとにありがとう。もう大丈夫だから」

「……無理すんな」

それだけ言って、月城くんは小さくうなずく。
相変わらずそっけないけど、その距離感が不思議と心地よかった。