鈍感な私は愛されヒロインです!?

黒崎くんと瀬名くんは少し離れたところで片付けを続けてる。
こっちには気づいてない、たぶん。

月城くんは私の前にしゃがんで、目線を合わせる。
近い。びっくりするくらい近い。

「……痛むか?」

「歩けるし、全然大丈夫だよ」

そう言うと、月城くんは私の足首をじっと見る。
触れないけど、確認するみたいに。

「大丈夫そうに見えない」

その一言が、妙に優しくて。
胸の奥がきゅっとした。

「保健室、行こう」

「え、いいよ! これくらい……」

「いいから」

強い言い方じゃないのに、不思議と逆らえなかった。

体育館を出て、校舎の中を歩く。
夕方の光が廊下に長く伸びていて、足音がやけに響く。

「……ごめんね、付き合わせちゃって」

私がそう言うと、月城くんは前を向いたまま答える。

「別に。放っておく方が面倒」

相変わらず素っ気ない言い方。
でも、歩く速度は私に合わせてくれてる。

「さっきも言ったけど、無理しすぎ」

「してない、つもりだったんだけどな」

「つもり、な」

その返しに、思わず小さく笑ってしまう。

「月城くんって、よく見てるよね」

「……そうか?」

「うん。周りも、私のことも」

少し間が空いたあと、月城くんは小さく言った。

「見てないと、危ないだろ」

それだけなのに、すごく胸に残る。