鈍感な私は愛されヒロインです!?

 午前の授業は、思っていたより長く感じた。

 板書を写して、先生の話を聞いて、ノートを取る。
 やっていることはいつもと同じなのに、
区切りのたびに、視線が勝手に横へ流れる。

 ……やっぱり、空いてる。

「今日は休みなのかな」

 小さく考えて、すぐにやめる。
 誰かがいないだけで、いちいち気にするのも変だ。

 それに、授業中だし。

 チャイムが鳴って、次の授業へ。
 移動のために立ち上がると、周りはいつも通り騒がしい。

「桜庭、次のやつノート見せてー」

「いいよ」

 そんな会話をしながら廊下を歩く。
 でも、人の流れの中で、つい探してしまう。

 黒い髪。
 背の高さ。
 落ち着いた歩き方。

 ……いない。

「……いないな」

 声に出してから、はっとする。

「なにが?」

 隣を歩いていたクラスメイトに聞き返されて、私は慌てて首を振った。

「なんでもない!」

 自分でもよく分からないまま、足を進める。

 午前最後の授業が終わると、教室に戻る。
 机に座って、鞄からお弁当を取り出す準備をしながら、
また、あの席を見る。

 来てない。

「……」

 お弁当を机に置いたまま、少しだけ固まってしまう。