鈍感な私は愛されヒロインです!?

「……俺は」

 そこまで言って、また黙る。

「今は、それ以上言わない」

「え、途中じゃん」

「途中でいい」

 そう言って、私の頭にそっと手を置いた。

 ぽん、って。

 一瞬のことなのに、心臓が変な音を立てる。

「今日は、それでいい」

 手が離れる。

「送る」

「え、家こっちじゃないよね?」

「遠回り」

 あっさり言われて、断る理由がなくなった。

 並んで歩きながら、私はまだ考えている。

 さっきの生徒会室。
 会長の言葉。
 月城くんの、余裕のなさ。

 でも――
 それが何を意味するのかまでは、分からない。

「ねえ、月城くん」

「なに?」

「今日、なんか変じゃない?」

 月城くんは少しだけ笑った。

「……そう?」

「うん」

「なら、それでいい」

 意味は分からないまま。

 夕焼けの下、いつもより静かな帰り道。
 私はまだ知らない。

 この“変”が、
もう元には戻らないことを。