鈍感な私は愛されヒロインです!?

 校門を出ると、昼間より少し冷えた空気が頬に当たった。
 空はもう夕方で、雲の間がオレンジ色に染まっている。

 私は鞄を肩にかけ直して、いつもの道を歩き出した。

 途中でコンビニの前を通り過ぎて、横断歩道を渡る。
 イヤホンをつけようか迷って、結局そのまま歩いた。

 頭の中に浮かんだのは、今日一日のことだった。

 理科室でのこと。
 昼休みの何気ない会話。
 放課後、呼び止められた声。

 ——気をつけて帰れよ。

 別に、深い意味なんてないはず。
 ああいう言い方をする人だし。

 私は首を振って、考えるのをやめる。

 家に着いて、靴を脱いで、鞄を置く。
 制服のままベッドに腰掛けて、少しだけ天井を見上げた。

 今日は、変な一日だった気がする。
 でも、何が変だったのかは、よく分からない。

「……疲れてるのかな」

 小さく呟いて、立ち上がる。
 夕飯まで、まだ少し時間がある。

 私は着替えに向かいながら、
 明日は何の授業だったかを思い出そうとしていた。

 それ以上、今日のことを考えることはなかった。