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・【09 ノドに良い料理って何?】
・
私と琢磨は二人でカフェのテーブルに座って、ハーブの辞典を広げながら。
私は琢磨へ、
「ノドに良い料理ということは逆算的にノドに良い食材を使うってことだよね」
「というと、やっぱりハチミツじゃないか。あとは刺激的な料理にしないってことだな」
「刺激的な料理って?」
「辛みを使った料理ってこと。辛みは厳密には味覚じゃなくて痛みだからな。辛みのある食材は口の中やノドとかを痛めてしまうんだ」
「じゃあここはついにカフェの本番、甘いケーキだね!」
と私が何か元気に言ってしまうと、琢磨が呆れるように、
「何だよカフェの本番って、いっつも大切な本番だから」
私はちょっとミスったことを自覚したので、
「えっと、じゃあ本領発揮という意味!」
と雰囲気を戻すようにそう言うと、
「というかカフェにはカレーもあるんだから、刺激的なカレーも本領発揮になるだろ」
と琢磨が淡々と言って、
「揚げ足ばっかりとるな!」
「いやいや、意味分かんないことを言うからだろ」
「大体分かるだろ!」
「本領発揮はまだしも本番は分からない、オミソはいつも人生を練習だと思って生きているのか?」
と少し腹立つ感じで琢磨が言ったので、私はイラッとしながら、
「この前言っていたじゃん! 子供なら失敗しても許されるって!」
「練習気分で失敗したら怒られるだろ。本気でやって失敗するなら仕方ないって話だ」
「何だよ琢磨って。すぐ、こう言ったらああ言って、ニュアンスで大体分かるでしょ!」
「ニュアンスとか大体とか好きだな、そんな曖昧なことだけじゃないだろ」
「だからレシピはいっつもちゃんと量って作ってます!」
と拳を強く握りながら私がそう言うと、琢磨は耳の上あたりを軽く掻きながら、
「まあそうだけどさっ」
「というか琢磨の料理は曖昧じゃん! 包丁も使わず、ゆるゆるゆるゆる手ばかりで!」
とここぞとばかりに責め立ててみると、
「まあそれを言われるとなぁ、なんともだ」
と、なんとも歯切れの悪い言い方をしたので、
「なんともだ、て! ちゃんと包丁使えるようになれよ!」
と私が声を荒らげると、琢磨は少し何か考えるように俯いてから、急にほんのり頬を赤くしながら、
「そうか、確かにそうだ、それに、よくよく考えれば曖昧なこともあるもんな、うん」
おやおや? 包丁を使えないと言われて怒っちゃったのかな?
可愛い頬だこと、オホホホホ。ここはイジワルしてやろうかな。
この赤くなった頬をいじってやろうかな? でも言い返せないよな? 包丁使えないんだもんな?
そんな気持ちで私は、
「琢磨、頬赤くなってるぞぃ?」
「えっ! 本当っ?」
そう言って何だか必要以上に驚く琢磨。
いや包丁を使えないことディスられて怒っていることは自分で分かるだろ。
「いやっ、別に赤くなって、ないし……」
と先細りの声でそう言った琢磨。
さてと、包丁を使えないということを改めて言わせてやるかな……自らなぁっ!
「あれれれ? 琢磨の曖昧なことって何かな? 何かなぁ?」
「……くっ、コイツ、俺の気も知らないで……」
知ってる知ってる、包丁を使えないことが恥ずかしいんだろう?
「いつか言う! いつか言うから今は言わない!」
「何で今は言わないんですかぁ? えー? 何で? 何でぇ?」
と自分でもウザいと思う言い方で詰め寄ると、
「……もっと、好きにさせてから言う」
……好きにさせてから言う? どういう意味だ?
私に、好きに何をやらせてから言うんだ。
私に、好きに料理をやらせてから言う、かな?
いやいや私が好きに料理を作ったあと言ったら、もっとみじめになるだろ。包丁できない自分がもっとみじめになるだろう。
まあいろいろ言われて混乱しているのかな? 可愛いところもあるじゃないか。
いいだろう、この辺で許してやるか。
なんせ私はオトナだからな。
子供じゃないから。
全部分かってるから。
さて、
「まあ包丁の話はいいや、今回のケーキは多分包丁使わないし。使ったとしても柔らかい果物を切るだけだ。それくらい私は余裕だしなっ」
「……包丁って……まあいいや、うん、包丁な、包丁」
ちょっと呆れているような表情を浮かべながら包丁包丁と言った琢磨。
まあそうか、しつこくディスったからちょっと呆れちゃったわけか。
いけない、いけない、ちょっと大人げなかったかな。
オトナなのに。
私は琢磨と比べて、すごいオトナなのに。
「じゃあケーキということで、何ケーキがいいかな」
と私が言うと、琢磨が斜め上を見ながら、
「やっぱりそうだな、優しい、刺激の少ないケーキがいいということだから……」
そんな感じで私と琢磨は二人で一緒にレシピ本やハーブの本を見ながら、料理のレシピを決めていった。
・【09 ノドに良い料理って何?】
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私と琢磨は二人でカフェのテーブルに座って、ハーブの辞典を広げながら。
私は琢磨へ、
「ノドに良い料理ということは逆算的にノドに良い食材を使うってことだよね」
「というと、やっぱりハチミツじゃないか。あとは刺激的な料理にしないってことだな」
「刺激的な料理って?」
「辛みを使った料理ってこと。辛みは厳密には味覚じゃなくて痛みだからな。辛みのある食材は口の中やノドとかを痛めてしまうんだ」
「じゃあここはついにカフェの本番、甘いケーキだね!」
と私が何か元気に言ってしまうと、琢磨が呆れるように、
「何だよカフェの本番って、いっつも大切な本番だから」
私はちょっとミスったことを自覚したので、
「えっと、じゃあ本領発揮という意味!」
と雰囲気を戻すようにそう言うと、
「というかカフェにはカレーもあるんだから、刺激的なカレーも本領発揮になるだろ」
と琢磨が淡々と言って、
「揚げ足ばっかりとるな!」
「いやいや、意味分かんないことを言うからだろ」
「大体分かるだろ!」
「本領発揮はまだしも本番は分からない、オミソはいつも人生を練習だと思って生きているのか?」
と少し腹立つ感じで琢磨が言ったので、私はイラッとしながら、
「この前言っていたじゃん! 子供なら失敗しても許されるって!」
「練習気分で失敗したら怒られるだろ。本気でやって失敗するなら仕方ないって話だ」
「何だよ琢磨って。すぐ、こう言ったらああ言って、ニュアンスで大体分かるでしょ!」
「ニュアンスとか大体とか好きだな、そんな曖昧なことだけじゃないだろ」
「だからレシピはいっつもちゃんと量って作ってます!」
と拳を強く握りながら私がそう言うと、琢磨は耳の上あたりを軽く掻きながら、
「まあそうだけどさっ」
「というか琢磨の料理は曖昧じゃん! 包丁も使わず、ゆるゆるゆるゆる手ばかりで!」
とここぞとばかりに責め立ててみると、
「まあそれを言われるとなぁ、なんともだ」
と、なんとも歯切れの悪い言い方をしたので、
「なんともだ、て! ちゃんと包丁使えるようになれよ!」
と私が声を荒らげると、琢磨は少し何か考えるように俯いてから、急にほんのり頬を赤くしながら、
「そうか、確かにそうだ、それに、よくよく考えれば曖昧なこともあるもんな、うん」
おやおや? 包丁を使えないと言われて怒っちゃったのかな?
可愛い頬だこと、オホホホホ。ここはイジワルしてやろうかな。
この赤くなった頬をいじってやろうかな? でも言い返せないよな? 包丁使えないんだもんな?
そんな気持ちで私は、
「琢磨、頬赤くなってるぞぃ?」
「えっ! 本当っ?」
そう言って何だか必要以上に驚く琢磨。
いや包丁を使えないことディスられて怒っていることは自分で分かるだろ。
「いやっ、別に赤くなって、ないし……」
と先細りの声でそう言った琢磨。
さてと、包丁を使えないということを改めて言わせてやるかな……自らなぁっ!
「あれれれ? 琢磨の曖昧なことって何かな? 何かなぁ?」
「……くっ、コイツ、俺の気も知らないで……」
知ってる知ってる、包丁を使えないことが恥ずかしいんだろう?
「いつか言う! いつか言うから今は言わない!」
「何で今は言わないんですかぁ? えー? 何で? 何でぇ?」
と自分でもウザいと思う言い方で詰め寄ると、
「……もっと、好きにさせてから言う」
……好きにさせてから言う? どういう意味だ?
私に、好きに何をやらせてから言うんだ。
私に、好きに料理をやらせてから言う、かな?
いやいや私が好きに料理を作ったあと言ったら、もっとみじめになるだろ。包丁できない自分がもっとみじめになるだろう。
まあいろいろ言われて混乱しているのかな? 可愛いところもあるじゃないか。
いいだろう、この辺で許してやるか。
なんせ私はオトナだからな。
子供じゃないから。
全部分かってるから。
さて、
「まあ包丁の話はいいや、今回のケーキは多分包丁使わないし。使ったとしても柔らかい果物を切るだけだ。それくらい私は余裕だしなっ」
「……包丁って……まあいいや、うん、包丁な、包丁」
ちょっと呆れているような表情を浮かべながら包丁包丁と言った琢磨。
まあそうか、しつこくディスったからちょっと呆れちゃったわけか。
いけない、いけない、ちょっと大人げなかったかな。
オトナなのに。
私は琢磨と比べて、すごいオトナなのに。
「じゃあケーキということで、何ケーキがいいかな」
と私が言うと、琢磨が斜め上を見ながら、
「やっぱりそうだな、優しい、刺激の少ないケーキがいいということだから……」
そんな感じで私と琢磨は二人で一緒にレシピ本やハーブの本を見ながら、料理のレシピを決めていった。



