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・【13 キクイモが余っている】
・
いつも通り、カフェってるつもりでいるけども、妻籠健康マラソンのせいで筋肉痛。
でもそのことを口に出すと、琢磨にイジられそうなので我慢している。
そんな中、イノシシのあやかしであるイノッシくんが大きな荷物を担いでやって来た。
イノッシくんも走っていたと思うけども、何故大きな荷物を持てるくらい元気なんだ。
というか、これから遠くに旅行へ行くのかな、体力が無尽蔵過ぎる、と思っていると、イノッシくんが荷物をテーブルに置きながらこう言った。
「去年掘ったキクイモが全然減らないまま、そろそろ次の秋冬シーズンが来そうなんだけども、どう?」
いや”どう?”って。まだ六月だから微妙にシーズン来ていないし。
すると琢磨が、
「売ればいいんじゃないんですか、キクイモって確か糖の上昇を緩やかにしたりして体に良いんですよね」
イノッシさんは溜息交じりに、
「キクイモあんまり有名じゃなくて、あやかしの仲間にも売れないんだ。あやかしは糖の上昇とかあんまり関係無いしぃ」
そうなんだ、じゃあ甘いもの食べ放題でいいなぁ、あやかしって、と思ったその時だった。
琢磨がニヤリとしてから、
「今、オミソは”あやかしは甘いもの食べ放題でいいなぁ、ブヒー”と思っただろ?」
と言ってきたので、私は即座に、
「私はケーキ豚じゃないし!」
とツッコむと、イノッシくんがブヒブヒと爆笑しながら、
「ケーキ豚ってぇ!」
と言い、いやイノッシくんが豚みたいになっているけども、と良くないことをちょっと思ってしまった。
琢磨は矢継ぎ早に、
「巨大なケーキに突進するオミソ」
「どっちにしろ突進はしないし! フォークでゆっくり頂くよ!」
「三匹のオミソ子豚が作ったケーキの家」
「三匹の子豚ならレンガで造るし!」
「オオカミがフォークでゆっくり頂き、お腹いっぱいになって帰っていく」
「じゃあケーキの家にするわ! というか何のディスにもなってない! どういう趣向の台詞!」
琢磨はフッと笑ってから、
「俺は無我夢中でディスるような人間じゃないからなっ」
私は間髪入れず、
「無我夢中でディスる人間でしょうが!」
と声を荒らげてしまった。
イノッシくんは相変わらずブヒブヒ笑っている。まあウケているならいいけども。
というか、
「イノッシくん、つまり売れないからカフェに買ってほしいということ?」
するとイノッシさんは深呼吸して笑いを抑えてから、
「そうなるけど、どう?」
琢磨はう~んと唸りながら、
「とは言え、キクイモってどう料理に使うんだ? チップスとかによくするイメージあるけども、カフェでキクイモのチップス作ってもなぁ。薄く切ったりする工程が大変だろうし、揚げるのも割とキツイし、工場で大量生産のほうが良さそう」
私も同調するように、
「カフェ案件ではなさそうだよね」
イノッシくんは悲しそうに俯きながら、
「でも工場の知り合いとかいないから……じゃあ工場との仲介をしてくれないかな……どう?」
私はなんとなく斜め上を見ながら、
「いやぁ、工場の知り合いとかもいないし、一応料亭に掛け合ってみてもいいけども、料亭の知り合いは別にイノッシくんもいるでしょ」
イノッシくんは首を横に振って、
「というか料亭は既に掛け合った」
……なんというか、ここが最後の砦みたいに来たのかもしれない。
琢磨がうなだれるように、
「キクイモってさ、お土産屋さんとか行ってもチップスとか粉末とかばっかで、何かピンとこないんだよな」
私はうんうん頷きながら、
「チップスみたいに揚げちゃうと、せっかく体に良いって言ってるのに、そのパワーが薄れちゃうよね。あういうのって揚げてるんじゃなくて乾燥させてるのかな?」
琢磨は「まあ」と言ってから、
「どっちにしろカフェ案件じゃないよな」
と言い切るとイノッシさんは肩を落とした。
だけど待てよ、
「キクイモって煮るとどんな感じになるのかな?」
それに対して琢磨が、
「でも皮剥くの大変じゃない?」
「実は皮も食べれたりしない? 市販されているチップスって何か皮も付いているイメージ無い?」
「じゃあゴボウみたいにしっかり泥を洗えばそのまま食べられるってこと?」
「その可能性あると思うんだけども、イノッシくんはキクイモを煮てみたことある?」
イノッシくんは唸ってから、
「煮るは意外と無いかも……きんぴらにして炒めるとかはあるけども」
私はすかさず、
「炒めると食感はどうなる? というか皮を剥いている?」
イノッシくんは淡々と、
「皮は剥いていないかな、炒めるとパリパリといった感じかな。あと確かキクイモって生でも食べられて、酢漬けにしてパリパリ食べることもできるんだ」
私と琢磨は目を見合わせた。
すぐに琢磨が口を開いた。
「生で酢漬けにできるんなら、付け合わせとして機能するんじゃないか?」
「というか煮ても崩れないでパリパリなら、面白いかもっ」
というわけで私と琢磨は一旦キクイモを受け取ることにした。
お代も結構という話で、私と琢磨は早速試作品を考えることにした。
・【13 キクイモが余っている】
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いつも通り、カフェってるつもりでいるけども、妻籠健康マラソンのせいで筋肉痛。
でもそのことを口に出すと、琢磨にイジられそうなので我慢している。
そんな中、イノシシのあやかしであるイノッシくんが大きな荷物を担いでやって来た。
イノッシくんも走っていたと思うけども、何故大きな荷物を持てるくらい元気なんだ。
というか、これから遠くに旅行へ行くのかな、体力が無尽蔵過ぎる、と思っていると、イノッシくんが荷物をテーブルに置きながらこう言った。
「去年掘ったキクイモが全然減らないまま、そろそろ次の秋冬シーズンが来そうなんだけども、どう?」
いや”どう?”って。まだ六月だから微妙にシーズン来ていないし。
すると琢磨が、
「売ればいいんじゃないんですか、キクイモって確か糖の上昇を緩やかにしたりして体に良いんですよね」
イノッシさんは溜息交じりに、
「キクイモあんまり有名じゃなくて、あやかしの仲間にも売れないんだ。あやかしは糖の上昇とかあんまり関係無いしぃ」
そうなんだ、じゃあ甘いもの食べ放題でいいなぁ、あやかしって、と思ったその時だった。
琢磨がニヤリとしてから、
「今、オミソは”あやかしは甘いもの食べ放題でいいなぁ、ブヒー”と思っただろ?」
と言ってきたので、私は即座に、
「私はケーキ豚じゃないし!」
とツッコむと、イノッシくんがブヒブヒと爆笑しながら、
「ケーキ豚ってぇ!」
と言い、いやイノッシくんが豚みたいになっているけども、と良くないことをちょっと思ってしまった。
琢磨は矢継ぎ早に、
「巨大なケーキに突進するオミソ」
「どっちにしろ突進はしないし! フォークでゆっくり頂くよ!」
「三匹のオミソ子豚が作ったケーキの家」
「三匹の子豚ならレンガで造るし!」
「オオカミがフォークでゆっくり頂き、お腹いっぱいになって帰っていく」
「じゃあケーキの家にするわ! というか何のディスにもなってない! どういう趣向の台詞!」
琢磨はフッと笑ってから、
「俺は無我夢中でディスるような人間じゃないからなっ」
私は間髪入れず、
「無我夢中でディスる人間でしょうが!」
と声を荒らげてしまった。
イノッシくんは相変わらずブヒブヒ笑っている。まあウケているならいいけども。
というか、
「イノッシくん、つまり売れないからカフェに買ってほしいということ?」
するとイノッシさんは深呼吸して笑いを抑えてから、
「そうなるけど、どう?」
琢磨はう~んと唸りながら、
「とは言え、キクイモってどう料理に使うんだ? チップスとかによくするイメージあるけども、カフェでキクイモのチップス作ってもなぁ。薄く切ったりする工程が大変だろうし、揚げるのも割とキツイし、工場で大量生産のほうが良さそう」
私も同調するように、
「カフェ案件ではなさそうだよね」
イノッシくんは悲しそうに俯きながら、
「でも工場の知り合いとかいないから……じゃあ工場との仲介をしてくれないかな……どう?」
私はなんとなく斜め上を見ながら、
「いやぁ、工場の知り合いとかもいないし、一応料亭に掛け合ってみてもいいけども、料亭の知り合いは別にイノッシくんもいるでしょ」
イノッシくんは首を横に振って、
「というか料亭は既に掛け合った」
……なんというか、ここが最後の砦みたいに来たのかもしれない。
琢磨がうなだれるように、
「キクイモってさ、お土産屋さんとか行ってもチップスとか粉末とかばっかで、何かピンとこないんだよな」
私はうんうん頷きながら、
「チップスみたいに揚げちゃうと、せっかく体に良いって言ってるのに、そのパワーが薄れちゃうよね。あういうのって揚げてるんじゃなくて乾燥させてるのかな?」
琢磨は「まあ」と言ってから、
「どっちにしろカフェ案件じゃないよな」
と言い切るとイノッシさんは肩を落とした。
だけど待てよ、
「キクイモって煮るとどんな感じになるのかな?」
それに対して琢磨が、
「でも皮剥くの大変じゃない?」
「実は皮も食べれたりしない? 市販されているチップスって何か皮も付いているイメージ無い?」
「じゃあゴボウみたいにしっかり泥を洗えばそのまま食べられるってこと?」
「その可能性あると思うんだけども、イノッシくんはキクイモを煮てみたことある?」
イノッシくんは唸ってから、
「煮るは意外と無いかも……きんぴらにして炒めるとかはあるけども」
私はすかさず、
「炒めると食感はどうなる? というか皮を剥いている?」
イノッシくんは淡々と、
「皮は剥いていないかな、炒めるとパリパリといった感じかな。あと確かキクイモって生でも食べられて、酢漬けにしてパリパリ食べることもできるんだ」
私と琢磨は目を見合わせた。
すぐに琢磨が口を開いた。
「生で酢漬けにできるんなら、付け合わせとして機能するんじゃないか?」
「というか煮ても崩れないでパリパリなら、面白いかもっ」
というわけで私と琢磨は一旦キクイモを受け取ることにした。
お代も結構という話で、私と琢磨は早速試作品を考えることにした。



