メイドはご主人様に偽装恋人を依頼する



「うーん、難しい……」


四人一組で参加できるタイプのリアル脱出ゲーム。

わたしたちはテーブルを囲んで頭をひねっている。


「莉衣。おまえ頭使うの苦手だからなー。そもそも、考える内容理解できてるか?」


「もう瑞希に頼らなくても大丈夫……だよ、たぶん」


小さいころは瑞希に頼りっぱなしだった。

けどわたしも高校生になって……
それに家のゴタゴタもあったり奏斗くんのメイドになったりして、
ずいぶん成長したと思う。


「莉衣は細かいとこまで気を配ることができるから、俺たちが気付かないことにも気付けるかもしれない。頼りにしてる」


「う、うん! 頑張る!」


奏斗くんに頼られたからには成果を上げないと。


わたしたちがやらないといけないのは、
目の前の暗号を解いてこの部屋から脱出する方法を探すこと。

わたしには謎解きは難しくても、部屋の中を観察するくらいならできる気がする。


「わたし、ちょっと部屋を見回してみるね」


「ハハッ、単純!」


「瑞希、笑ったら可哀想でしょ。さっきから瑞希が失礼でごめんなさい」


「ううん、春姫ちゃんは気にしないで」


わたしは三人から離れ、部屋の内装を確認する。

今わたしたちが脱出を求められているのは、窓はあるのにコンクリートで埋められてしまっている子ども部屋。

ドアには暗証番号を入力するキーボードがついている。


さらに観察してみた。

おもちゃ箱の中には乱雑にいくつかおもちゃが入っていて、カーテンはタッセルでまとめられている。


ん?
なんでこのカーテン、窓の高さよりもずっと長いんだろう?
普通は窓の大きさに合わせるものなのに。


何か隠れているかもしれないと思ってカーテンを広げたけれど、特に何も見つからなかった。

それでもなんとなく気になって、カーテンを持ち上げてみる。


「……重い?」


「どうかしたのか?」


「あ、奏斗くん。あのね、なんかこのカーテンが重くて」


「重い? ……そうか?」


わたしに続いてカーテンを握って持ち上げた奏斗くんはピンと来ていないみたいだ。


気のせいかな……?

でもやっぱり気になる。


カーテンの裾を調べると、折り返しの一部がほつれている。


「あ、中に何か入ってる!」


「え、マジか⁉」


出てきたのはパズルのピースだった。


「これ手がかりだろ! やったな、莉衣!」


奏斗くんと両手でパチンとハイタッチ。

よかった! 奏斗くんの役に立てた!