奏斗くんと二人で待ち合わせ場所まで歩いてたとき。
「…………」
……なんだかいつもと違う。
「奏斗くん、なんかすごく……周囲から視線を感じるんだけど」
きっと気のせいじゃないはず。
人とすれ違う度に見られている気がする。
「そうか? いつも通りだろ」
ちょっとげんなりしながら奏斗くんの横顔を眺める。
なんでこんなにチラチラ見られてるのに普通の顔して歩いてるんだろ、奏斗くん。
向こうから歩いてきた彼氏持ちの女の子まで奏斗くんに釘付けだよ。
すごいなぁ。
そっか、奏斗くんにとってはこれが普通なんだ。
いつも奏斗くんは人気者だなぁと思ってたけど、奏斗くん側になるとこんな感じで注目を浴びることになるわけか。
「莉衣」
「え……ちょ……奏斗くん! 手!」
手、繋がれちゃったんだけど!
「デートなんだし、これくらいはしないとな」
ウインクまで飛んできて、まだ始まる前なのにクライマックスみたいにドキドキする。
ほんと、すごい人に彼氏役頼んじゃったんだ。
なんだかより一層緊張してきた。
気持ちを誤魔化そうと前を見ると、今日のダブルデートを提案してきた友人の姿が見えた。
「あ!」
「あそこにいるのが莉衣の幼なじみか」
奏斗くんもわたしの視線の先をたどって、一組のカップルに目を向ける。
「瑞希!」
幼なじみの瑞希に呼びかけると、声に気づいて手を挙げこちらに振った。
わたしが二人のいるところにスピードを上げて進もうとすると、グッと手を引っ張られる。
「どうしたの? 奏斗くん」
「……ちょっと待て。莉衣の幼なじみがダブルデートに誘ってきたって言ったよな?」
「うん、そうだよ」
「俺には、手を振り返してるのがカップルの男の方に見えんだけど」
「あれ? 言ってなかったっけ? 瑞希は男の子だよ」


