「一人にしないで」
明らかに場違いなの、お客さんの中で私だけが。
お気に入りの白いロングワンピースを着てきたのに、幼さは隠せない。
ノーメイク・眉が隠れる前髪・胸まで伸びる黒髪。
身長も低すぎだし、胸にもお尻にも女性らしい凹凸はない。
中学生にしか見えないうえにライブハウス初心者なので、オシャレで綺麗なお客さんたちと比べてはオドオドしてしまう。
「キャァァァ、ロイフラが出てきた!」
「エース様!」
「お願い、こっち見て!」
立ち見のお客さん達の熱狂的な叫び声に、キョドリを強めた私。
ツンツンとお兄ちゃんの腕をつつく。
「お客さんたちがキャーキャー叫びだしちゃった。泣きだしちゃった人までいる。今出てきた人たちって人気バンドなの?」
「奈乃ってロイフラも知らないのか」
「ロイフラ?」
「いろんな音楽事務所からスカウトされまくってる5人組バンド。全員ビジュえぐすぎだろ」
お兄ちゃんが指をさしたステージに視線を向ける。
スポットライトに照らされている5人全員がカッコよくて可愛すぎて、つい見とれてしまった。



