生徒会選挙が近づいてきた。
フライングで剣崎生徒会長ロスを悲しんでいる女子生徒がたくさんいるなか、私はホッとしている。
剣崎先輩が生徒会長として壇上にあがるたび、瞳に映るたび、スピーカーから流れる校内放送を聞くたび、裏切られたような苦さが胸いっぱいに広がって泣きたくなるんだ。
剣崎先輩が生徒会長じゃなくなれば、目に入る回数も声を聴く回数も減ってくれるはず。
校舎の壁に背中を預け、潤んだ瞳で空を見上げる。
最近は涙腺が緩みやすくて本当に困る。
気づかぬ間に私は、剣崎先輩にもエースさんにも恋をしていたのかな。
恋というものがどんな感情なのかいまだにわからない。
でも嫉妬という闇感情が私の中に存在しているのは確かだ。
私が嫉妬しているのは、真っ赤な唇の美女じゃない。
剣崎先輩との時間もエースさんとの時間も大事にできなかった、恵まれていた過去の自分に対して。
なんで私は、二人との時間をもっと大事にできなかったんだろう。
今思えば贅沢なほど幸せな時間だったのに。



