「人の顔色をうかがわない、ファンをも無視する自分第一主義。そんな傍若無人冷酷騎士様はどこに行っちゃったんだか」
クイーンは腰を覆う長い髪を耳にかけると、意志の強い瞳を俺に向けた。
「優しくて麗しい王子様に餌づけされ続けた。人間拒絶の冷酷騎士に助けられた。そんな麻痺率高めな劇薬をあなたは2種類も好きな子に投与したの。剣崎唯人とエースが同一人物だと隠してね」
劇薬か。
怖い言葉だがその通りだなと頷かずにはいられない。
「責任取りなさいよ。彼女の人生を狂わせたんだから」
「わかってる」
でも俺はどうすればいいんだろう。
「責任っていうのはね、奈乃ちゃんが幸せになる選択をしなさいってこと。あなたの中に燃え滾っている狂った愛い感情は、奈乃ちゃんを幸せにするためにあるんだからね!」
激励の喝とともに力いっぱい叩かれた背中。
激痛が全身を駆けるも、痛みが消えるとともに情けない感情が薄れていくのがわかる。
狂った愛い感情か。
アハハ、どれだけ俺は奈乃ちゃんを好きなんだか。
モヤが晴れた顔でクイーンを見る。



