「泣かせた……俺が……」
「相手は笑顔を独占したくて学校でエースが餌づけしてるって子よね? ライブで助けた控えめで純粋そうな。名前は、そう奈乃ちゃん」
「なんでそれを」
「エースと同じ高校に通っている子から聞いたの。私たちバンドメンバーと違う高校を選んだのも、どうせその子がその高校を選びそうっていう情報を掴んだからじゃないの?」
図星過ぎて言葉に詰まる。
バンドメンバーに俺の恋心を隠し通せていると思っていたが、違っていたらしい。
俺は誰の前でも弱音を吐かずにきた。
家でも学校でもライブでも。
自分の弱みを他人に見せるなんてプライドが許さない。
でも今は完全にメンタルが折れているんだろう。
悲しみを吐き出さずにはいられない。
「奈乃ちゃんには高校での優しい俺を好きになって欲しかった」
俺の情けない声が夜風に溶ける。



