重いため息ばかりで窒息しそうになり、闇夜を仰ぐ。
分厚い雲が広がる夜空は、俺を癒す気はないらしい。
慈悲深い満月を隠し、俺のメンタルを闇に突き落とそうとしてくる。
もう一度顔をフェンスに沈めた時だった、背後から攻撃的な足音が聞こえてきたのは。
腰まで伸びる赤毛を揺らしながら屋上に現れたのはクイーンだ。
ロイフラのベース担当で、見た目は凛とした王妃様。
性別は男性だが、自分を女性だと信じ強く生きている。
「情けない顔して。冷酷イケメン騎士はどこに行っちゃったのかしら。私のほっそいヒールで顔を踏みつけてあげましょうか」
クイーンが冗談っぽく微笑んでいる。
俺は笑顔を作れない。
作る気にもなれない。
視線を足元に逃がし、唇を強く噛みしめ心の痛みをごまかすのみ。
「で、何があったの?」
心から俺を心配しているのがわかる慈悲深い声が降ってきて戸惑ったが、しばらく続いた沈黙の後俺は口を開いた。



