大人気生徒会長は餌づけしたい


 ☆剣崎唯人・エースside☆


 俺、剣崎唯人(ゆいと)とロイフラのエースは同一人物。

 エースは精神破壊を回避するために俺が作り上げた、もう一人の自分なんだ。
 

「俺が奈乃ちゃんを泣かせた」


 夜空に輝きが一つもない闇にのまれた屋上で


「俺が傷つけた、自分が許せない」


 フェンスに腕を乗せ、手の甲に額を押し当てる。


 奈乃ちゃんにはエースを嫌いになって欲しかった。

 学校での優しい剣崎唯人だけを好きになって欲しかった。

 だからライブハウスに来た奈乃ちゃんの前で、女好きの最低男を演じたんだ。


 『エースさんって女にだらしないんだ、最低、顔も見たくない!』

 『傍若無人のわがままバンドマンより、笑顔で餌づけしてくれる優しい生徒会長の方が100倍いい』


 そう思って欲しかったのに。

 知られてしまった、俺が剣崎唯人でありロイフラのエースだということを。

 露呈してしまった、不機嫌オーラでファンをも拒絶する俺の心の醜さが。