「ごっ、ごめんなさい……似た人と勘違いをしてしまって……」
勢いよく頭を下げエースさんに背を向ける。
涙がこみあげてきた。
エースさんに腕を絡ませる美女を見ていると、自分が惨めでたまらない。
『ロイフラのエースには二度と会わないほうがいい』と剣崎先輩にくぎを刺さされたのに、安易な気持ちで会いに来てしまった。
きっと剣崎先輩は、エースさんに本命の彼女がいることを知っていたんだろう。
私が傷つかないように忠告してくれたのに、どうしてもエースさんに会いたくてライブハウスまで来てしまった。
美人な彼女と腕を組むエースさんを見ていると、胸が痛くてたまらない。
私は嘘カノ。
私なんかがエースさんに選ばれるはずがない。
わかっていたのに、どうしても会いたくてたまらなかった。
エースさんを好きなのかわからない。
好きという感情がどういったものかもわからない。
ただただ会いたくて、もう一度歌を聞きたくて、助けてくれてありがとうございましたとお礼が言いたくて……
でも他の女性とは親密な関係になって欲しくなくて……
心の奥に埋もれていた本心が光りだした。
私はエースさんが好きなの? そんなはずは……
気づきたくなかった恋心が赤く光りだし、胸が張り裂けそうになる。
ゆっくりと近づいてきたエースさんのロングブーツが瞳に映り、顔があげられない。



